グリーンボンドって何?特徴や種類、メリット・デメリット

  • 最終更新日:2020年6月5日

「グリーンボンド」についてご存じでしょうか。

グリーンボンドとは、企業や自治体などが、国内外のグリーンプロジェクトに使用する資金を調達するために発行する債券のことを指します。

この記事では、グリーンボンドについて詳しく知りたい方のために、

  • グリーンボンドの概要
  • グリーンボンド原則の構成要素
  • グリーンボンドの種類
  • グリーンボンドを発行するメリットとデメリット
  • グリーンボンドに投資するメリットとデメリット
  • グリーンボンドの市場規模

などについて、わかりやすく解説していきます。

グリーンボンドとは?

はじめに、グリーンボンドの概要や特徴、発行主体、投資家の特徴について解説していきます。

グリーンボンドとは

グリーンボンドとは、企業や地方自治体などがグリーンプロジェクト(環境改善を目的とする事業)の資金として使用することを目的に発行する債券のことを指します。

またグリーンボンドは、近年、世界的な拡大を見せているESG投資(環境や社会、企業統治に配慮している企業を選別して行う投資)の手法のひとつでもあります。

グリーンボンドの特徴

グリーンボンドの主な特徴は、以下の3つです。

  • 調達した資金の使いみちが、グリーンプロジェクト(環境改善事業)に限定される
  • 調達した資金は、確実に追跡・管理が行われる
  • 調達した資金の使いみちや管理について、グリーンボンド発行後のレポーティングで報告を行うことで、透明性が確保される

グリーンボンドの発行主体

グリーンボンドの発行主体(発行する団体)は、以下の3つです。

  • 自らが実施するグリーンプロジェクトの原資を調達する一般事業者
    (専らグリーンプロジェクトのみを行うSPCを含む。)
  • グリーンプロジェクトに対する投資・融資の原資を調達する金融機関
  • グリーンプロジェクトに係る原資を調達する地方自治体

参考資料:環境省「グリーンボンド発行促進プラットフォーム」より引用)

一般事業者の発行事例

上記でご紹介した発行主体のうち、一般事業者のものでは2020年1月に100億円のグリーンボンドを発行した「オリックス株式会社」の事例があります。今回のグリーンボンドで調達した資金は、全額をオリックス株式会社が開発・運営している約1000MWの太陽光発電事業に充てられる予定です。

オリックス株式会社では、グリーンボンドによる資金で太陽光発電事業や風力発電事業などの再生可能エネルギー事業を進め、持続可能な社会の実現に貢献していくことを発表しています。

参考資料:オリックス株式会社「初のグリーンボンドの発行について」

地方自治体の発行事例

地方自治体によるグリーンボンドの発行事例としては、東京都や長野県が挙げられます。

東京都では、2019年10月に3回目となる「東京グリーンボンド」を発行しました。
発行額は100億円で、みずほ銀行や三菱UFJ銀行、住友生命保険など36団体が投資を表明しています。
東京都は、3回目となるグリーンボンドにおいて発行額を超える需要があったことを明かし、グリーンボンドで集めた資金で環境施策を進め、スマートシティを実現すると発表しました。

参考資料:日本経済新聞「東京都の環境債、機関投資家36団体が投資表明」

また長野県では、数十億円規模を想定するグリーンボンドを、2020年度中に発行することを明らかにしています。
長野県では、グリーンボンドで集めた資金の使いみちとして、小水力発電の整備や第三セクター「しなの鉄道」に対する省エネルギー車両の導入、県警察の駐在所2カ所におけるゼロ・エネルギー化モデル事業などを想定しています。

参考資料:日本経済新聞「長野県、グリーンボンド発行へ」

グリーンボンドの主な投資家

グリーンボンドの投資家としては、主にESG投資を行っている機関投資家やESG投資の運用を受託している運用機関などが考えられます。
ESG投資とは、世界的に広がりを見せている投資手法で、「環境・社会・企業統治」に配慮した企業を重視して行う投資のことです。

  • ESG投資を行うことを表明している年金基金、保険会社などの機関投資家
  • ESG投資の運用を受託する運用機関
  • 資金の使途に関心を持って投資をしたいと考える個人投資家

参考資料:環境省「グリーンボンド発行促進プラットフォーム」より引用)

グリーンボンド原則(GBP)の構成要素

ここでは、グリーンボンド原則(GBP)の意味や4つの構成要素について解説します。

グリーンボンド原則(GBP)とは?

グリーンボンドは、その定義が法律で定められているわけではなく発行主体が使途を自己申告する債券です。
そのため、「グリーンボンドで集めた資金が本当に環境改善事業に使用されているか」が、投資する側には重要な問題となります。

そんなグリーンボンドの透明性を確保するために設けられたのが、グリーンボンドを発行する際の自主的なガイドライン「グリーンボンド原則(GBP)」です。
グリーンボンドを発行する企業や地方自治体などは、この「グリーンボンド原則」に則って発行を行うことが求められています。

グリーンボンド原則を構成している要素は、以下の4つです。

  1. グリーンプロジェクトの対象区分を例示
    5つの環境目的(①気候変動緩和策、②気候変動適応策、③自然環境保全、④生物多様性保全、⑤汚染対策)に資するものを、適格性のあるグリーンプロジェクトとしています。
  2. プロジェクトの評価と選定のプロセス
    グーリンプロジェクトにおける目標、選定プロセスなど投資家に伝えるべき点を規定しています。
  3. 調達資金の管理
    グリーンボンドで調達した資金の透明性確保について規定しています。
  4. レポーティング
    グリーンボンドで調達した資金の使いみちに関するレポーティング内容について規定しています。

グリーンボンド原則(GBP)の詳細については、「グリーンボンド発行促進プラットフォーム」のWEBサイトをご覧ください。

参考資料:グリーンボンド発行促進プラットフォーム「グリーンボンド原則(GBP)」

グリーンボンドの種類について

次に、グリーンボンドの種類について解説します。
どれも「グリーンプロジェクト(環境改善事業)に必要な資金を調達するために発行する債券」であることに変わりはありませんが、償還方法に違いがあります。

標準的なグリーンボンド(Green Use of Proceeds Bond)

「標準的なグリーンボンド」は、特定の財源によらず、発行体全体の現金や現金同等物などのキャッシュフローを原資として償還を行う債券です。

グリーンレベニュー債(Green Use of Proceeds Revenue Bond)

グリーンレベニュー債は、外部団体が行うグリーンプロジェクト(排水処理事業や廃棄物処理事業など)に必要な施設の設備や運営などを資金の使いみちとして、その事業の収益のみを原資として償還を行う債券です。

グリーンプロジェクト債(Green Use of Proceeds Project Bond)

グリーンプロジェクト債は、単一または複数のグリーンプロジェクト(再生可能エネルギー発電事業や省エネルギー事業など)の設備や運営などを資金の使いみちとして、その事業の収益のみを原資として償還を行う債券です。

グリーン証券化債(Green Use of Proceeds Securitized Bond)

グリーン証券化債は、グリーンプロジェクトに係る通常複数の資産(ソーラーパネル、省エネ性能の高い機器など)を担保として、それらの資産から発生するキャッシュフローを原資として償還を行う債券です。

参考資料:環境省「グリーンボンド発行促進プラットフォーム」

グリーンボンドを発行するメリット・デメリット

ここでは、グリーンボンドを発行する側のメリットとデメリットを紹介していきます。

グリーンボンドを発行するメリット

グリーンボンドを発行するメリットとしては、

  • ESG投資への対策(投資家層の多様化)
  • 環境経営によるイメージアップ

が挙げられます。

近年、世界的にESG(環境・社会・企業統治)に配慮している企業への投資が盛んになってきています。
そうした観点から従来の債券とは異なるグリーンボンドを発行することで、「ESG投資に積極的な投資家」からの投資が期待できるようになります。

また、グリーンボンドを発行して環境改善事業を推進・実行することで、環境経営の実績として企業のアピール材料にもなります。

グリーンボンドを発行するデメリット

グリーンボンドを発行するデメリットとしては、

  • 調達した資金は「グリーンプロジェクト」にしか使えない
  • グリーンボンド発行のために追加コストがかかる

が挙げられます。

グリーンボンドはグリーンプロジェクト(環境改善事業)への使用のために調達する資金なので、グリーンプロジェクト以外への使用は認められません。
グリーンボンドで調達した資金の使いみちは、厳重にチェックが行われます。

また、グリーンボンドを発行するためには、先程ご紹介したグリーンボンド原則(GBP)を遵守する必要があります。
そのため、通常の債券に比べて外部評価を受けるための手数料が必要になるほか、調達した資金の分別管理や使途報告などの時間的コストも必要になります。

グリーンボンドに投資するメリットとデメリット

ここでは、グリーンボンドに投資する側のメリットとデメリットを紹介していきます。

グリーンボンドに投資するメリット

グリーンボンドに投資するメリットとしては、

  • ESG投資を行える
  • 気候変動に関する中長期的なリスクヘッジ

が挙げられます。

グリーンボンドはESG投資の手法のひとつですので、ESG投資を行いたい投資家にとっては、その需要を満たせるでしょう。
また、地球温暖化の気候変動による中長期的な財務リスクに対し、グリーンボンド投資を行うことでリスクヘッジにも繋がります。

グリーンボンドに投資するデメリット

グリーンボンドに投資するデメリットに、「グリーンウォッシュ債券」の問題が考えられます。
環境省のグリーンボンド発行促進プラットフォームでは、「グリーンウォッシュ債券」について

実際は環境改善効果がない、または、調達資金が適正に環境事業に充当されていないにもかかわらず、グリーンボンドと称する債券

と説明しています。
(参考資料:グリーンボンド発効促進プラットフォーム「グリーンボンドとは グリーンボンドガイドライン」より引用)

グリーンボンドの信頼性の確保のために、「グリーンボンドガイドライン」が定められていますが、
あくまで自主的なガイドラインであり、法的拘束力やガイドラインに基づく罰則はありません。
(その他の法令等に抵触する場合に、当該法令等に基づく罰則等が課される場合はあります。グリーンボンドガイドラインをご参照ください)
投資を検討するグリーンボンドが「グリーンウォッシュ債券」に該当するかどうか、投資家の目線で慎重に判断したほうがよいでしょう。

グリーンボンドの市場規模について

ここからは、国内外におけるグリーンボンドの発行額についてご紹介していきます。

国内企業等によるグリーンボンド等の発行実績

2014~2019年の、国内企業等によるグリーンボンド等の発行実績は以下の通りです。

  • 2014年:発行総額5億円/発行件数1件
  • 2015年:発行総額5億円/発行件数2件
  • 2016年:発行総額1億円/発行件数4件
  • 2017年:発行総額2,223億円/発行件数11件
  • 2018年:発行総額5,363.7億円/発行件数34件
  • 2019年:発行総額8,238.3億円/発行件数58件

参考資料:グリーンボンド発行促進プラットフォーム「市場普及状況(国内・海外)」グラフより引用)

発行総額・発行件数ともに急成長していることが分かります。

実際の発行例としては、先ほどグリーンボンドの発行主体の項目でもご説明した通り、
2019年10月に東京都が発行したグリーンボンドでは、機関投資家36団体が投資を表明しています。東京都はこれまでに3回のグリーンボンドを発行しています。

参考資料:日本経済新聞「東京都の環境債、機関投資家36団体が投資表明」

その他にも、オリックス株式会社が2020年1月に100億円のグリーンボンドを発行し、国内のグリーンボンド市場も活発になりつつあります。

参考資料:時事ドットコムニュース「初のグリーンボンドの発行について」

世界のグリーンボンド発行額の推移

続いて、世界のグリーンボンド発行額の推移を見ていきましょう。

  • 2014年:発行総額366億米ドル
  • 2015年:発行総額418億米ドル
  • 2016年:発行総額872億米ドル
  • 2017年:発行総額1,608億米ドル
  • 2018年:発行総額1,709億米ドル
  • 2019年:発行総額2,312億米ドル

参考資料:グリーンボンド発行促進プラットフォーム「市場普及状況(国内・海外)」より引用)

世界におけるグリーンボンド発行額も、2014~2019年の5年間で約6倍に増えています。このことからも、グリーンボンドの市場規模は国内外問わず拡大していることがわかります。

まとめ

この記事では、「グリーンボンド」の概要や原則(ガイドライン)、種類、メリット・デメリットなどについて解説してきました。

簡単にまとめると、グリーンボンドは国内外のグリーンプロジェクト(環境改善事業)に対する資金調達を目的として、主に企業が発行する債券です。

通常の債券と異なるのは、必ず「グリーンプロジェクト」に使うことが約束されている点と、それを証明するための報告を行う必要があることです。

グリーンボンドの発行額は国内外で急速に増えていますが、債券市場全体からみれば1~2%程度に過ぎません。
しかし、逆に言うとまだまだ拡大途上であり、グリーンボンドの市場規模は今後も成長していく可能性が高いでしょう。