自家消費でも確定申告が必要?農業所得の収支計算を解説

自家消費でも確定申告が必要?農業所得の収支計算を解説

  • 最終更新日:2019年7月10日

農業をされていて、お米や野菜を自家消費(家事消費)されている方も多いかと思います。
たとえば、100%自家消費している場合でも、農業所得の収支計算は必要です。
この記事では、農業所得の収支計算のやり方について、わかりやすく解説していきます。

そもそも農業所得の収支計算とは?

そもそも農業所得の収支計算とは、何のために必要なのでしょうか?

農業所得は事業所得の一種で、1月1日~12月31日の1年間で得た農業経営の所得のことを指します。
確定申告を行う際には農業所得の収支を入力する必要がありますが、
そのときに必要なのが農業所得の収支計算になります。

農業所得を導き出す計算式

農業所得は、以下の計算式で導き出すことができます。

農業所得金額=総収入金額-必要経費

しかし、いざ農業所得の収支計算を行おうとしても、
わかりにくくてつまずいてしまう人もいるかもしれません。
次の項目では、農業所得の収支計算に必要な、「収入」と「経費」について、詳しく見ていきましょう。

農業所得の収支計算に必要な項目

農業所得の収支計算に必要な項目として、「収入」と「経費」が存在します。
ここでは、「収入」と「経費」それぞれに含まれる内容を見ていきましょう。

「収入」に含まれる内容

農業所得の収支計算を行う際、「収入」には以下のような内容が含まれます。

農作物の販売金額

農作物の販売金額は、お米などの農作物を販売したことで得た収入のことを指します。
収支計算を行う際の計算方法ですが、「販売金額=収入金額」となります。

「農作物の販売金額」に含まれる例
  • 本年中に農協出荷した分の農作物
    ※本年中に代金を受け取っていない場合も販売したものは全て含みます。
  • 民間流通米
  • 家事消費(自家消費)等金額

家事消費(自家消費)とは、自宅で消費したお米(農作物)や、
親戚などに配ったお米(農作物)のことを指します。

「家事消費(自家消費)金額」に含まれる例
  • 飯米(自宅で消費したお米)
  • 自宅で消費した野菜などの農作物
  • 親戚などに配ったお米や農作物
  • 雑収入

農業所得における雑収入とは、農作物の販売金額以外のものを指します。

「雑収入」に含まれる例
  • 農作物に対する各種共済金や補償金など
  • 農作業の受託収入
  • 農業関係の各種交付金、補助金、補償金など

「経費」に含まれる内容

農業所得の経費には、以下の項目が含まれます。

  • 租税公課:農地・農業用施設等の固定資産税、農事組合費、生産組合費、自動車税(県税)、軽自動車税(市税)、印紙代(土地建物や自動車は農業用のものに限り、事業専用割合により計算)
    農協及び土地改良の賦課金、部会費、生産組合費、水利費
  • 種苗費:種子や苗の購入費
  • 貸倒金:売掛金などの貸し倒れ損失
  • 肥料費:化学肥料や堆肥用藁の購入費
  • 農業共済掛金:農業用の建物や車両に対する保険料や、水稲・果樹・家畜などの共済掛金など。なお、建物更生共済や長期火災保険の場合は掛け捨て部分のみ対象。
  • 荷造運賃手数料:農産物等の販売に必要となった運送費、包装費、市場手数料など
  • 土地改良費:土地改良費のうち必要経費部分(※10a当たり1万円未満の賦課金は全額が経費)
  • 農具費:農具、器具、機械の購入費。ただし、使用可能期間が1年未満か、1個または1組の取得価格が10万円未満のものに限る。
  • 農薬衛生費:農薬の購入費など協同防除の負担金など
  • 諸材料費:果実の袋掛用の袋代やビニールシート代、わら、支柱、縄などの購入費
  • 修繕費:農機具、農業用の建物や車両などにかかった修理費や車検代
  • 動力光熱費:電気料、潅水などに要した水道料、ハウス施設の重油などの燃料費、農業機械や車両などに要した軽油・ガソリン代など
  • 作業用衣料費:作業服代や長靴や手袋代など
  • 減価償却費:取得10万円以上の農業用建物、機械、車両等の償却費
  • 利子割引料:農業用の土地建物や農機具を購入するための、借入金利子や手形割引料
  • 雇人費:農産物などの生産・販売のための雇用労賃、雇人への賄費・交通費など。
  • 小作料・賃借料:ライスセンター、小作料、共同撰果場等の使用料金など。
  • 雑費:研修費、有線放送、事務用品費、切手代など、上記に分類できない経費。

米や野菜を自家消費している場合の収支計算

米や野菜を自家消費している場合の収支計算

農作物の自家消費(家事消費)についてご存知でしょうか?
ここでは、お米や野菜を自家消費している場合の収支計算方法について紹介します。

そもそも自家消費とは?

自家消費(家事消費)とは、生産した野菜やお米を販売せず、
自宅で食べて消費したり、親戚などに配ったりすることを指します。

意外と知られていないのが、自家消費した野菜や米などの農作物を、
確定申告する必要があるのか?という点です。

自家消費でも確定申告が必要

自家消費であっても、原則的には農業所得を計算し、確定申告が必要です。
具体的には、農業所得の「収入」部分に含まれます。

なお、自家消費(家事消費)したお米や農作物を農業所得で収支計算する場合、
お米であれば1袋あたりの販売単価、野菜であれば1人あたりの消費金額を目安に算定するケースがあります。

引用:この記事の内容は広島県 三次市の資料を元に作成しております。

収支計算書はソフトを使って作成可能

「農業所得の収支計算については理解できたけど、実際に計算して収支計算書を書いていくのは面倒・・・。」

そんなことを感じている方には、「農業所得収支計算ソフト」がおすすめです。
「農業所得収支計算ソフト」は、農業所得の収支計算を手助けするためのソフトなので、
ご自身で一から書くよりも簡単に収支計算書を作成することができます。

ただし、使用にはエクセルなどの表計算ソフトが必要になりますので、ご注意ください。
「農業所得収支計算ソフト」は各自治体などが配布していますので、
詳しくは各自治体のホームページなどをご覧ください。

収支計算時に必要になるもの

実際に農業所得の収支計算を行うときには、以下の書類などが必要になります。
あらかじめ分かりやすい場所に保管しておくようにしましょう。

  • 収支に関する書類など
  • 農協からの領収書や米代金精算通知書など
  • 口座振替の利用明細書や預金通帳(記帳済)など
  • 農産物に関する収入金の明細など
  • 経費に関する書類など
  • 農作業に必要な肥料や農薬などを購入した際の領収書や利用明細書など
  • 土地改良費・水利費・小作料・作業委託料、集荷円滑化対策拠出金などの領収書・明細書
  • 農業用車両でかかった自動車税の領収書や、市から送られる固定資産税の通知書など

農業所得を増やすには「ソーラーシェアリング」が効果的

さて、農業所得の収支計算について詳しく解説してきましたが、
農業所得と平行して収入を増やす手段についても触れておきましょう。

農作物を育てる畑は、実は「太陽光発電」を設置して電気を創り出す環境としても非常に優れています。
農作物も太陽光発電も、共に「日当たりのいい場所」が適しているからです。

その点に着目してはじまったのが「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」です。
「ソーラーシェアリング」は、畑などの耕作地に太陽光パネルを設置し、
同時に農作物も育てるという画期的な方法です。

「ソーラーシェアリング」を行うことによって、
「農業所得」の他に太陽光発電による「売電所得」も得られるようになります。
「ソーラーシェアリング」について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

ソーラーシェアリングで耕作放棄地活用

まとめ

確定申告で必要となる農業所得の収支計算は、
「収入」から「経費」を引くことで導き出せることがわかりました。
また、収支と経費については、それぞれ領収書や明細を保存しておくようにしましょう。

なお、自宅でお米や農作物を消費する「自家消費」についても、
農業所得の「収入」の項目に含まれます。忘れずに計算するようにしましょう。

農業所得の収支計算書の作成には、自治体などが配布している
「農業所得収支計算ソフト」を利用するのがおすすめです。

また、「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」を行うことで、農作物を育てながら、
太陽光発電による「売電所得」も得られるようになりますので、収入を増やしたい方はご検討ください。

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。