省エネ法とは?特定事業者の指定基準や届出書の提出先

改正 省エネ法とは?特定事業者の指定基準や届出書の提出先

  • 最終更新日:2019年9月30日

2018年に改正・施行された「省エネ法」について、正しくご存知でしょうか。

詳しくは経済産業省 資源エネルギー庁HP「省エネ法」をご覧いただくとして、
このページでは、省エネ法の対象となるエネルギーの定義をはじめ、特定事業者や特定連鎖化事業者の指定基準、
発生する義務、各種手続きの期限、違反した場合の罰則などについて解説していきます。

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省エネ法とは?

省エネ法とは?

省エネ法とは正式名称を「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」といい、
工場や建築物、機械・器具についての省エネ化を進め、効率的に使用するための法律です。

1970年代のオイルショックを契機として、1979年(昭和54年)に制定されました。
時代に合わせてたびたび改正されていきましたが、
2008年の法改正によって、それまで工場や事業所ごとに行われていたエネルギー管理を、
企業全体で行っていくことが義務付けられました。

なお、この記事では省エネ法の規制対象の分類のうち、
工場等(工場を設置して事業を行う者のほか、病院、ホテル、学校などの事業場を設置して事業を行う者。以下同)
対象として解説を進めていきます。

省エネ法の対象となるエネルギー

省エネ法の規制対象となるエネルギーは、以下のように分けられています。

燃料

  1. 原油及び揮発油(ガソリン)、重油、その他石油製品
  2. 可燃性天然ガス
  3. 石炭及びコークス、その他の石炭製品

上記①~③のうちいずれかで、燃焼その他の用途(燃料電池による発電)に供するもの

上記に示す燃料を熱源とする熱(蒸気、温水、冷水など)

電気

上記に示す燃料を起源とする電気

なお、廃棄物からの回収エネルギーや、
太陽光発電・風力発電などの自然エネルギー由来の電気は対象外となります。

省エネ法(工場等)の規制対象基準

省エネ法(工場等)の規制対象基準

ここでは、省エネ法(工場等)の規制対象基準について解説していきます。
省エネ法の規制対象基準は、事業者として「特定事業者」「特定連鎖化事業者」に分けられ、
さらにその中で、単一の事業場について「第一種・第二種エネルギー管理指定工場等」が指定されます。

特定事業者の指定基準

企業が設置している全ての事業場(本社、支店、工場、営業所、店舗など。以下同)
年間エネルギー使用量の合計が、原油換算で「1,500kL」以上の事業者は、
国から「特定事業者」として指定されます。

特定連鎖化事業者の指定基準

フランチャイズチェーン本部(連鎖化事業者)については、
設置している全ての事業場および一定の条件を満たす加盟店の
年間エネルギー使用量の合計が、原油換算で「1,500kL」以上の場合、
国から「特定連鎖化事業者」として指定されます。

第一種・第二種エネルギー管理指定工場等の指定基準

特定事業者および特定連鎖化事業者が設置している事業場のうち、

年間エネルギー使用量が3,000kL以上

の事業場については「第一種エネルギー管理指定工場等」に指定されます。

年間エネルギー使用量が1,500kL以上3,000kL未満

の事業場については「第二種エネルギー管理指定工場等」に指定されます。

次の項目からは、実際に省エネ法によってどのような義務が発生するのかについて、説明します。

省エネ法で発生する義務

ここでは、実際に省エネ法によって発生する義務について解説していきます。

エネルギー使用量の把握およびエネルギー使用状況届出書の提出
まずは、エネルギー使用量の把握および「エネルギー使用状況届出書」の提出です。

エネルギー使用量の把握は、すべての工場・事業場における前年度のエネルギー使用量を
種別ごとに集計・合計し、原油換算します。
エネルギー使用量の原油換算は、経済産業省から簡易計算表が配布されておりますので、
これによってチェックすることも可能です。(ダウンロードはこちら

原油換算の総量が1,500kL以上の場合は、5月末日までに「エネルギー使用状況届出書」を作成し、
本社所在地を管轄している経済産業局に提出する必要があります。

エネルギー使用量の把握および「エネルギー使用状況届出書」の対象事業者

「エネルギー使用状況届出書」は、工場等(本社、営業所、事務所、研究所、店舗、倉庫、出張所、福利厚生施設)
経営している事業者は提出する義務があります。
ただし、「特定事業者」および「特定連鎖化事業者」は、
後述の定期報告書等の提出が義務となっているためエネルギー使用状況報告書の提出は不要になります。

定期報告書・中長期計画書の提出

特定事業者、特定連鎖化事業者として指定された事業者は、
「定期報告書」「中長期計画書」の提出義務が発生します。
定期報告書・中長期計画書ともに、国が定めた様式に則って文書を作成し提出する必要があります。

エネルギー管理統括者・エネルギー管理企画推進者の選任

さらに、特定事業者、特定連鎖化事業者として指定された事業者は、
「エネルギー管理統括者」「エネルギー管理企画推進者」の選任が義務付けられます。

  • 「エネルギー管理統括者」は、事業者のエネルギー管理の統括管理が主な職務で、事業の実施を統括管理する者から選出する必要があります。
  • 「エネルギー管理企画推進者」は、エネルギー管理統括の補佐が主な職務で、エネルギー管理講習修了者またはエネルギー管理士から選出する必要があります。

エネルギー管理者またはエネルギー管理員の選任

第一種エネルギー管理指定工場等および第二種エネルギー管理指定工場等では、
エネルギー管理者またはエネルギー管理員を選任する必要があります。

なお、選任すべき人数は、業種やエネルギー使用量によって異なるため、
詳しくは、経済産業省の配布する省エネ法に関する資料をご確認ください。

省エネ法に関する手続きの期限

省エネ法に関する手続きの期限

ここでは、省エネ法に関する手続きの期限について解説していきます。

各種書類の提出期限と提出先

上記でご紹介してきた各種書類の提出期限と提出先は以下の通りです。

エネルギー使用状況届出書

  • 提出期限:5月末日
  • 提出先:本社所在地を管轄する経済産業局

※特定事業者または特定連鎖化事業者は提出不要

中長期計画書・定期報告書

  • 提出期限:毎年度7月末日
  • 提出先:本社所在地を管轄する経済産業局及び事業所管省庁

エネルギー管理統括者等の選任・解任届

  • 提出期限:選任・解任日後、最初の7月末日まで
  • 提出先:本社所在地を管轄する経済産業局

エネルギー管理統括者等の選任期限

上記でご紹介したエネルギー管理統括者等の選任期限は以下の通りです。

特定事業者、特定連鎖化事業者

  • エネルギー管理統括者の選任期限:特定事業者等の指定後、遅滞なく
  • エネルギー管理企画推進者の選任期限:特定事業者等の指定後6ヶ月以内
  • 届出の提出期限:選任日後、最初の7月末日

第一種エネルギー管理指定工場等(製造5業種 ※製造業、鉱業、電気・ガス・熱供給業)

  • エネルギー管理者:選任事由の発生後6ヶ月以内
  • 届出の提出期限:選任日後、最初の7月末日

第一種エネルギー管理指定工場等(製造5業種以外)・第二種エネルギー管理指定工場等

  • エネルギー管理員:選任事由の発生後6ヶ月以内
  • 届出の提出期限:選任日後、最初の7月末日

省エネ法に違反した場合の罰則

省エネ法に違反した場合の罰則には、以下のような種類があります。

エネルギー使用状況届出書に関する罰則

エネルギー使用状況届出書について、

  • 届出しなかった
  • 虚偽の報告をした

上記に当てはまる場合、「50万円以下の罰金」が課せられます。

定期報告書・中長期計画書に関する罰則

定期報告書・中長期計画書について、

  • 報告しなかった
  • 虚偽の報告をした

上記に当てはまる場合、「50万円以下の罰金」が課せられます。

エネルギー管理統括者等の選任に関する罰則

エネルギー管理統括者、エネルギー管理企画推進者および
エネルギー管理者、エネルギー管理員の選任・解任の届出について、

  • 届出しなかった
  • 虚偽の届出をした

上記に当てはまる場合、「20万円以下の罰金」が課せられます。
また、選任しなかった場合は「100万円以下の罰金」が課せられます。

改正省エネ法における変更点

改正省エネ法における変更点

省エネ法はこれまでに何度も法改正されています。
ここでは、「改正省エネ法」でなにが変わったのかについて、詳しくご紹介していきます。

この記事は2019年8月に執筆したものです。最新の情報は経済産業省 資源エネルギー庁HPをご確認ください。

変更点①:企業単位での規制に変更

「改正省エネ法」で変更になった重要なポイントとして、
エネルギー使用量の規制対象が「工場・事業場単位」から
「企業単位」になったことがまず挙げられます。

これで何が変更になったかというと、改正前までは企業が所有するビルや工場、店舗のなかで、
「1,500kL/年」以上の施設だけが省エネ法の規制対象となっていましたが、
改正後は企業が所有するビルや工場、店舗のエネルギー使用量の”合計”が
「1,500kL/年」以上の場合に規制対象となるように変更されました。

具体的な例で見てみると、以下のように全国に事業拠点がある企業の場合、
従来の省エネ法であれば個別に事業場や営業所のエネルギー使用量を見ていたため、
規制の対象にはなりませんでした。

全国に事業拠点がある企業の例

  • 事業場(ビル):1,000kL
  • 事業場(ビル):500kL
  • 営業所:300kL
  • 営業所:200kL
  • 営業所:200kL

しかし、改正省エネ法では、企業の工場・事業所・営業所の使用エネルギー量の
合計で判断されるようになりました。

そのため、上記のエネルギー使用量を合計すると「2,200kL」となり、
改正省エネ法では規制の対象となるのです。

変更点②:電力需要の平準化を推進

改正省エネ法では、電力需要の平準化を推進しています。

“電力需要の平準化”とは、昼間の消費電力を夜間に移す「ピークシフト」や、
電気を節約する「ピークカット」などにより、日本全体の電力需要を
夏期・冬期の昼間に集中させず、できるだけ分散させる試みです。

電力需要の平準化を推進するために、以下の対策が行われています。

  • 7~9月および12~3月の8~22時を「電気需要平準化時間帯」に設定
  • 「電気需要平準化時間帯」において、「電気から燃料または熱へエネルギーをチェンジ」、「電力を消費する機械器具類を使用する時間帯のシフト」、「合理化や管理の徹底による電気使用量のカット」という指針の策定
  • 「電気需要平準化時間帯」において、改善への影響率が大きくなるように電気需要平準化時間帯における電気使用量を1.3倍で算出する「電気需要平準化評価原単位」の策定
  • 定期報告書に電気需要平準化時間帯の電気使用量の記載や、電力需要の平準化を推進するための取り組みを報告する欄を追加するなど、書類様式を変更

(参照:経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ法における上げDRの考え方について」(PDF)

変更点③:トップランナー制度の対象を拡大

改正省エネ法により、トップランナー制度の対象として新たに以下の建築材料が指定されました。

  • 2013年12月28日:「断熱材(押出法ポリスチレンフォーム、ロックウール、グラスウール)」を追加
  • 2014年11月30日:「サッシ・複層ガラス」を追加

省エネ法の関連用語を解説

ここでは、省エネ法に関するわかりにくい用語を解説していきます。

トップランナー制度とは

トップランナー制度とは、省エネ法において、乗用車、LED電球、エアコン、冷蔵庫、テレビなど
32種類の機器を対象として、市場で販売中の同種の製品でもっとも優れた消費効率を基準として、
すべての製品でその基準以上の性能を目指す制度です。

(参照:経済産業省 資源エネルギー庁「機器・建材トップランナー制度について」

ベンチマーク制度とは

ベンチマーク制度とは、製鉄業、セメント製造業、石油精製業など
特定の業種や分野において、省エネの取り組みが他社と比べて進んでいるのか、
それとも遅れているのかが明確になる“ベンチマーク指標”を設定し、
省エネが遅れている事業者に対して省エネ意識の喚起を強めるための制度です。

(参照:経済産業省 資源エネルギー庁「ベンチマーク制度について」

特定輸送事業者とは

貨物や旅客の輸送を行う輸送事業者のなかで、
以下で示す基準以上の事業者が、「特定輸送事業者」として指定されます。

  • タクシー:350台
  • バス:200台
  • トラック:200台
  • 鉄道:300両
  • 船舶:2万総トン(総船腹量)
  • 航空:9千トン(総最大離陸重量)

(参照:国土交通省 総合政策局 環境政策課「運輸部門の現況と改正省エネ法の概要」(PDF)

特定荷主とは

貨物を輸送事業者に輸送させる荷主のなかで、
年間の貨物輸送量が3,000万トンキロ以上の事業者が「特定荷主」として指定されます。(全業種対象)

(参照:経済産業省 資源エネルギー庁「荷主に係る措置」

まとめ

省エネ法により発生する義務、各種手続きの期限、違反した場合の罰則を解説しましたが、
省エネ法が「環境を配慮した事業展開」を促す法律であることがご理解いただけたかと思います。

特定事業者や特定連鎖化事業者などに指定された場合、
エネルギー使用の合理化のためのエネルギー管理が義務づけられ、定期報告書・中長期計画書の提出や、
エネルギー管理統括者・エネルギー管理企画推進者の選任などの義務が発生するほか、
省エネ法の義務に違反した場合、罰金などの罰則が課せられます。

企業としてエネルギー管理が非常に重要になってきているため、
まずは「省エネ法」を理解していくことが、企業のエネルギー使用の合理化への第一歩です。