地球温暖化対策推進法(温対法)とは?特定排出者の義務や罰則

地球温暖化対策推進法(温対法)とは?特定排出者の義務や罰則

  • 最終更新日:2019年8月27日

地球温暖化対策推進法(温対法)という法律をご存知ですか?

この記事では、温対法の概要や、2016年(平成28年)の改正で何が変わったのか、
企業が果たすべき義務や報告手続きについてご紹介していきます。

地球温暖化対策推進法(温対法)とは?

温対法は、1998年(平成10年)に成立しました。

温対法が誕生した背景には、1997年(平成9年)末の「京都議定書」の採択があります。
京都議定書で決定した温室効果ガスの削減目標に向け、国や地方自治体、事業者、
国民が一丸となって積極的に取り組むための法律として、翌年に温対法が成立しました。

最新の改正は2016年(平成28年)

温対法は1998年(平成10年)の成立から、これまでに6回の改正を経ており、
最新の法改正は2016年(平成28年)に行われています。

以下は、温対法の成立から各改正時のポイントです。

1998年(平成10年)成立

京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)での
「京都議定書」の採択を受け、地球温暖化対策に取り組むための枠組みとして温対法が成立しました。

2002年(平成14年)改正

京都議定書を的確かつ円滑に実施するため、
「京都議定書目標達成計画」の策定や、計画実施の推進に必要な体制の整備などを新たに定めました。

2005年(平成17年)改正

京都議定書が発効されたことや、温室効果ガスの排出量が大幅に増加している状況などを踏まえ、
「温室効果ガス算定・報告・公表制度」の創設などについて新たに定めました。

2006年(平成18年)改正

京都議定書で定められた第一約束期間を前に、
政府および国内法人が京都メカニズムを利用する際の基盤となる口座簿の整備など、
「京都メカニズムクレジット」の活用に関わる事柄について新たに定めました。

2008年(平成20年)改正

京都議定書が定める温室効果ガス6%の削減目標を達成するために、
地方公共団体実行計画の策定事項の追加や、
事業者の排出抑制などに関する指針の策定などを新たに定めました。

2013年(平成25年)改正

京都議定書目標達成計画に代わる地球温暖化対策計画の策定や、
温室効果ガスの種類に3ふっ化窒素(NF3)を追加することなどを新たに定めました。

2016年(平成28年)改正

日本は、2015年7月に「2030年の温室効果ガス排出量を2013年度比で26%まで削減する
という目標を掲げています。

最新となる2016年(平成28年)の改正では、その目標達成のため、
国民一人ひとりが温室効果ガスを削減するという意識の普及啓発を強化する」という
国の方針が明示されました。

さらに、国際協力を通じた地球温暖化対策の推進、
地域ごとの地球温暖化対策の推進といった事柄を実施していくための措置が講じられました。

「特定排出者」は温室効果ガス排出量の報告が義務化

「特定排出者」は温室効果ガス排出量の報告が義務化

温対法は法改正を繰り返す中で、2006年(平成18年)4月1日から「特定排出者」に対して
温室効果ガス排出量の算出と、国への報告を義務付けました。

ここでは、「特定排出者」の基準や、排出量を算出するための計算式をご紹介します。

報告が義務付けられる「特定排出者」の基準

特定排出者とは、公的部門を含む
一定以上の温室効果ガスを排出する事業所を所有する事業者など」を指します。

特定排出者の詳細な基準は以下のとおりです。

特定事業所排出者(CO2の場合)

CO2(二酸化炭素)に限った「特定事業所排出者」には、以下の事業者が当てはまります。

  • 省エネ法の特定事業者
  • 省エネ法の特定連鎖化事業者
  • 省エネ法の認定管理統括事業者または管理関係事業者のうち、
    全ての事業所のエネルギー使用量合計が年間1,500kl以上の事業者
  • 上記以外で全ての事業所のエネルギー使用量合計が年間1,500kl以上の事業者

特定事業所排出者(CO2以外の温室効果ガスの場合)

CO2以外の温室効果ガスを対象とした「特定事業所排出者」には、
以下2つの要件を満たす事業者が当てはまります。

  • 温室効果ガスの種類ごとに、全ての事業所の排出量合計がCO2換算で3,000t以上
  • 事業者全体で、常時使用する従業員数が21人以上

特定輸送排出者(CO2の場合)

CO2に限った「特定輸送排出者」には、以下の事業者が当てはまります。

  • 省エネ法の特定貨物輸送事業者
  • 省エネ法の特定旅客輸送事業者
  • 省エネ法の特定航空輸送事業者
  • 省エネ法の特定荷主
  • 省エネ法の認定管理統括荷主または管理関係荷主で、
    貨物輸送事業者に輸送させる貨物輸送量が年間3,000万トンキロ以上の荷主
  • 省エネ法の認定管理統括貨客輸送事業者または管理関係貨客輸送事業者で、
    輸送能力が合計300両以上の貨客輸送事業者

排出量を算定する流れ

温室効果ガスの排出量は、以下の手順に沿って計算式に当てはめることで算出が可能です。

① 排出活動を抜き出す

温室効果ガスごとに定められている排出活動のなかで、事業者が行っている活動を抜き出します。

たとえば、燃料の燃焼などによって排出される
「エネルギー起源CO2」に限った場合、以下のような活動があります。

  • 燃料の使用
  • 他者から供給された電気の使用
  • 他者から供給された熱の使用

排出活動は多岐に渡って設定されているため、
それ以外の活動について詳しくは、環境省のWEBサイトをご覧ください。
(外部リンク)環境省:温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度 制度概要 >>

② 計算式を用いて活動ごとの排出量を算定

政省令で定められている以下の計算式を用いて、
抜き出した活動ごとに温室効果ガスの排出量を算定します。

温室効果ガス排出量=活動量×排出係数

※活動量とは、生産量や使用量、焼却量などの「排出活動の規模」を表す指標です。
※排出係数とは、活動量あたりの排出量です。

なお、算定方法および排出係数一覧については、環境省の「算定方法・排出係数一覧」をご覧ください。
(外部リンク)環境省:算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧 >>

③ 温室効果ガス排出量の合計値を算定

活動ごとに算出した排出量を、温室効果ガスごとに合算します。

④ 排出量のCO2換算値を算定

以下の計算式を用いて、温室効果ガスごとの排出量を、CO2の単位に換算します。

温室効果ガス排出量(tCO2)=温室効果ガス排出量(tガス)×地球温暖化係数(GWP)

※GWP(Global Warming Potential)とは、CO2を基準にして、
それ以外の温室効果ガスがどれだけ地球温暖化に影響を与えるかを表した数値。

温室効果ガス排出量の報告手続き

温室効果ガス排出量の報告手続き

ここでは、温対法に基づいて、温室効果ガス排出量の報告手続きや、罰則などについて解説していきます。

ガスの種類により異なる報告様式

温対法に基づく温室効果ガス排出量の報告様式は、
CO2とそれ以外の温室効果ガスで、以下のように提出書類が異なります。

CO2の報告様式 省エネ法の「定期報告書」
CO2以外の温室効果ガス 温対法の「温室効果ガス算定排出量等の報告書」

報告期限と算定対象期間

温対法に基づく温室効果ガス排出量の報告期限は、
特定事業所排出者と特定輸送排出者によって異なります。

特定事業所排出者 毎年度の7月末日までに報告
特定輸送排出者 毎年度の6月末日までに報告

また、温室効果ガスの種類によって、算定の対象となる期間が異なります。

代替フロン等の4つのガス(HFC、PFC、SF6、NF3) 暦年ごと
代替フロン等の4つのガス(HFC、PFC、SF6、NF3)以外の
温室効果ガス
年度ごと

温対法の罰則は20万円以下

温対法に基づいた温室効果ガス排出量の報告を行わない、
あるいは虚偽の報告をした場合は、20万円以下の過料の罰則があります。

まとめ

地球温暖化対策推進法(温対法)のまとめ

温対法は、1997年(平成9年)末に京都で開催された
気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)での「京都議定書」の採択を受け、
地球温暖化対策を推し進めるための枠組みとして成立しました。

基本的には温室効果ガスの削減を目的としており、これまで何度も法改正が行われてきました。

現在は「2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で26%まで削減する
という目標の達成に向けて、国や事業者、国民が一丸となって動いている最中です。

こうした中、温対法では温室効果ガスの排出量が一定以上の事業者を「特定排出者」とし、
温室効果ガス排出量の報告を義務付けています。

違反した事業者には20万円以下の過料の罰則が課せられるため、
対象となる事業者の方は必ず報告を行うようにしましょう。

ひとつしかない地球の環境を守るために、
今や地球温暖化対策は国を越えた課題となっています。

日本が環境先進国として世界をリードしていくためにも、
温対法などの枠組みに沿って温室効果ガスを削減していくことが求められています。