省エネ法とは?特定事業者の指定基準や届出書の提出先

省エネ法とは?特定事業者の指定基準や届出書の提出先

2018年に改正・施行された「省エネ法」について、正しくご存知でしょうか。

省エネ法の対象となるエネルギーの定義をはじめ、特定事業者や特定連鎖化事業者の指定基準、
発生する義務、各種手続きの期限、違反した場合の罰則などについて解説していきます。

省エネ法とは?

省エネ法とは?

省エネ法とは正式名称を「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」といい、
工場や建築物、機械・器具についての省エネ化を進め、効率的に使用するための法律です。

1970年代のオイルショックを契機として、1979年(昭和54年)に制定されました。
時代に合わせてたびたび改正されていきましたが、
2008年の法改正によって、それまで工場や事業所ごとに行われていたエネルギー管理を、
企業全体で行っていくことが義務付けられました。

なお、この記事では省エネ法の規制対象の分類のうち、
工場等(工場を設置して事業を行う者のほか、病院、ホテル、学校などの事業場を設置して事業を行う者。以下同)
対象として解説を進めていきます。

省エネ法の対象となるエネルギー

省エネ法の規制対象となるエネルギーは、以下のように分けられています。

燃料

  1. 原油及び揮発油(ガソリン)、重油、その他石油製品
  2. 可燃性天然ガス
  3. 石炭及びコークス、その他の石炭製品

上記①~③のうちいずれかで、燃焼その他の用途(燃料電池による発電)に供するもの

上記に示す燃料を熱源とする熱(蒸気、温水、冷水など)

電気

上記に示す燃料を起源とする電気

なお、廃棄物からの回収エネルギーや、
太陽光発電・風力発電などの自然エネルギー由来の電気は対象外となります。

省エネ法(工場等)の規制対象基準

省エネ法(工場等)の規制対象基準

ここでは、省エネ法(工場等)の規制対象基準について解説していきます。
省エネ法の規制対象基準は、事業者として「特定事業者」「特定連鎖化事業者」に分けられ、
さらにその中で、単一の事業場について「第一種・第二種エネルギー管理指定工場等」が指定されます。

特定事業者の指定基準

企業が設置している全ての事業場(本社、支店、工場、営業所、店舗など。以下同)
年間エネルギー使用量の合計が、原油換算で「1,500kL」以上の事業者は、
国から「特定事業者」として指定されます。

特定連鎖化事業者の指定基準

フランチャイズチェーン本部(連鎖化事業者)については、
設置している全ての事業場および一定の条件を満たす加盟店の
年間エネルギー使用量の合計が、原油換算で「1,500kL」以上の場合、
国から「特定連鎖化事業者」として指定されます。

第一種・第二種エネルギー管理指定工場等の指定基準

特定事業者および特定連鎖化事業者が設置している事業場のうち、

年間エネルギー使用量が3,000kL以上

の事業場については「第一種エネルギー管理指定工場等」に指定されます。

年間エネルギー使用量が1,500kL以上3,000kL未満

の事業場については「第二種エネルギー管理指定工場等」に指定されます。

次の項目からは、実際に省エネ法によってどのような義務が発生するのかについて、説明します。

省エネ法で発生する義務

ここでは、実際に省エネ法によって発生する義務について解説していきます。

エネルギー使用量の把握およびエネルギー使用状況届出書の提出
まずは、エネルギー使用量の把握および「エネルギー使用状況届出書」の提出です。

エネルギー使用量の把握は、すべての工場・事業場における前年度のエネルギー使用量を
種別ごとに集計・合計し、原油換算します。
エネルギー使用量の原油換算は、経済産業省から簡易計算表が配布されておりますので、
これによってチェックすることも可能です。(ダウンロードはこちら

原油換算の総量が1,500kL以上の場合は、5月末日までに「エネルギー使用状況届出書」を作成し、
本社所在地を管轄している経済産業局に提出する必要があります。

エネルギー使用量の把握および「エネルギー使用状況届出書」の対象事業者

「エネルギー使用状況届出書」は、工場等(本社、営業所、事務所、研究所、店舗、倉庫、出張所、福利厚生施設)
経営している事業者は提出する義務があります。
ただし、「特定事業者」および「特定連鎖化事業者」は、
後述の定期報告書等の提出が義務となっているためエネルギー使用状況報告書の提出は不要になります。

定期報告書・中長期計画書の提出

特定事業者、特定連鎖化事業者として指定された事業者は、
「定期報告書」「中長期計画書」の提出義務が発生します。
定期報告書・中長期計画書ともに、国が定めた様式に則って文書を作成し提出する必要があります。

エネルギー管理統括者・エネルギー管理企画推進者の選任

さらに、特定事業者、特定連鎖化事業者として指定された事業者は、
「エネルギー管理統括者」「エネルギー管理企画推進者」の選任が義務付けられます。

  • 「エネルギー管理統括者」は、事業者のエネルギー管理の統括管理が主な職務で、事業の実施を統括管理する者から選出する必要があります。
  • 「エネルギー管理企画推進者」は、エネルギー管理統括の補佐が主な職務で、エネルギー管理講習修了者またはエネルギー管理士から選出する必要があります。

エネルギー管理者またはエネルギー管理員の選任

第一種エネルギー管理指定工場等および第二種エネルギー管理指定工場等では、
エネルギー管理者またはエネルギー管理員を選任する必要があります。

なお、選任すべき人数は、業種やエネルギー使用量によって異なるため、
詳しくは、経済産業省の配布する省エネ法に関する資料をご確認ください。

省エネ法に関する手続きの期限

省エネ法に関する手続きの期限

ここでは、省エネ法に関する手続きの期限について解説していきます。

各種書類の提出期限と提出先

上記でご紹介してきた各種書類の提出期限と提出先は以下の通りです。

エネルギー使用状況届出書

  • 提出期限:5月末日
  • 提出先:本社所在地を管轄する経済産業局

※特定事業者または特定連鎖化事業者は提出不要

中長期計画書・定期報告書

  • 提出期限:毎年度7月末日
  • 提出先:本社所在地を管轄する経済産業局及び事業所管省庁

エネルギー管理統括者等の選任・解任届

  • 提出期限:選任・解任日後、最初の7月末日まで
  • 提出先:本社所在地を管轄する経済産業局

エネルギー管理統括者等の選任期限

上記でご紹介したエネルギー管理統括者等の選任期限は以下の通りです。

特定事業者、特定連鎖化事業者

  • エネルギー管理統括者の選任期限:特定事業者等の指定後、遅滞なく
  • エネルギー管理企画推進者の選任期限:特定事業者等の指定後6ヶ月以内
  • 届出の提出期限:選任日後、最初の7月末日

第一種エネルギー管理指定工場等(製造5業種 ※製造業、鉱業、電気・ガス・熱供給業)

  • エネルギー管理者:選任事由の発生後6ヶ月以内
  • 届出の提出期限:選任日後、最初の7月末日

第一種エネルギー管理指定工場等(製造5業種以外)・第二種エネルギー管理指定工場等

  • エネルギー管理員:選任事由の発生後6ヶ月以内
  • 届出の提出期限:選任日後、最初の7月末日

省エネ法に違反した場合の罰則

省エネ法に違反した場合の罰則には、以下のような種類があります。

エネルギー使用状況届出書に関する罰則

エネルギー使用状況届出書について、

  • 届出しなかった
  • 虚偽の報告をした

上記に当てはまる場合、「50万円以下の罰金」が課せられます。

定期報告書・中長期計画書に関する罰則

定期報告書・中長期計画書について、

  • 報告しなかった
  • 虚偽の報告をした

上記に当てはまる場合、「50万円以下の罰金」が課せられます。

エネルギー管理統括者等の選任に関する罰則

エネルギー管理統括者、エネルギー管理企画推進者および
エネルギー管理者、エネルギー管理員の選任・解任の届出について、

  • 届出しなかった
  • 虚偽の届出をした

上記に当てはまる場合、「20万円以下の罰金」が課せられます。
また、選任しなかった場合は「100万円以下の罰金」が課せられます。

まとめ

省エネ法により発生する義務、各種手続きの期限、違反した場合の罰則を解説しましたが、
省エネ法が「環境を配慮した事業展開」を促す法律であることがご理解いただけたかと思います。

特定事業者や特定連鎖化事業者などに指定された場合、
エネルギー使用の合理化のためのエネルギー管理が義務づけられ、定期報告書・中長期計画書の提出や、
エネルギー管理統括者・エネルギー管理企画推進者の選任などの義務が発生するほか、
省エネ法の義務に違反した場合、罰金などの罰則が課せられます。

企業としてエネルギー管理が非常に重要になってきているため、
まずは「省エネ法」を理解していくことが、企業のエネルギー使用の合理化への第一歩です。

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