ダイベストメント(投資撤退)とは?知っておくべき基礎知識 | 太陽でんき®

  • 最終更新日:2020年3月17日

「ダイベストメント」という言葉をご存じでしょうか。

近年、化石燃料産業、タバコ産業、銃産業などからの「ダイベストメント」、すなわち投資撤退が、世界的な潮流になりつつあります。
この記事では、経営者が知っておくべき「ダイベストメント」の知識として、

  • ダイベストメント(投資撤退)の概要
  • ダイベストメントに向けた世界の取り組み
  • 日本におけるダイベストメントの現状と課題
  • 企業が行える脱炭素化の取り組み

などを分かりやすく解説していきます。

ダイベストメント(投資撤退)とは何か

ダイベストメントとは、「投資撤退」の意味を持ちます。
株式や債券を手放したり、事業売却や他社への融資停止などの方法で、金融資産を引き上げることを指します。
近年では、「ESG(環境、社会、企業統治)の観点で、環境や社会に悪影響を及ぼすとされる企業への投資を控える姿勢」という意味でも使用されています。

最近の事例としては「地球温暖化の原因とされるCO2を排出する化石燃料産業からのダイベストメント(投資撤退)」があります。
「化石燃料産業からのダイベストメント(投資撤退)」を表明している機関は、米国や欧州を中心とした大学、都市、財団などに及んでいます。
知名度の高い機関では、米国カリフォルニア州のスタンフォード大学やサンフランシスコ市、ワシントン州のシアトル市、イギリスのオックスフォード市などがあります。

(参考記事:NO! 化石燃料「化石燃料産業への投資撤退(ダイベストメント)とは?」)
(参考記事:NO! 化石燃料「「投資撤退」を表明しているのは?」)
(参考記事:野村證券「ダイベストメント|証券用語解説集」)

ダイベストメントに向けた世界の取り組み

ここでは、最近の主に化石燃料産業からのダイベストメントに向けた世界的な動きや取り組みについて紹介していきます。

ダイベスト・インベストに関する国際サミットの開催

2019年9月、南アフリカのケープタウン市にて、ダイベスト・インベストに関する国際サミット「 Financing the Future(未来のためのファイナンス)」が開催されました。

この国際サミットには、化石燃料からの脱却を目指して活動を行う世界44カ国の約300名の代表が出席しました。
サミットでは、化石燃料産業が中心の社会から再生可能エネルギー100%の社会へシフトしていくために必要な「ダイベスト・インベスト」について積極的な話し合いが行われました。

(参考記事:No Coal Japan「化石燃料投資から投資撤退(ダイベストメント)し、 自然エネルギーへの投資増加。11兆米ドルを上回る。」)

「脱石炭連盟(Powering Past Coal Alliance)」の発足と拡大

脱石炭連盟(Powering Past Coal Alliance)とは、2017年11月に開催されたCOP23(気候変動枠組条約第23回締約国会議)において発足した国際的な連盟です。
石炭火力発電からの脱却を加速させ、COP21で採択された「パリ協定」で掲げられているCO2削減目標の達成を支援することを主な目的としています。

脱石炭連盟(PPCA)には、2018年12月13日現在で30カ国、22の地域、28の企業・組織が加盟しています。

脱石炭連盟(PPCA)に加盟している主要な国の、石炭火力発電からのフェードアウト政策は以下の通りです。

  • イギリス(PPCA発起国):2025年までに石炭火力0%/最初に石炭火力からの脱却を宣言
  • カナダ(PPCA発起国):2030年までに石炭火力0%を目標
  • ベルギー(PPCA加盟国):2016年にEU初石炭火力0%達成
  • スウェーデン(PPCA加盟国):2022年までに石炭火力0%/EU初の化石燃料フリーへ

(参考資料:公益財団法人 自然エネルギー財団「石炭火力発電から撤退する世界の動きと日本」p01)

日本におけるダイベストメントの現状と課題

ここでは、日本におけるダイベストメントの取り組み状況や課題について解説していきます。

日本の火力発電への依存率は90年より増加

日本の化石燃料(石炭、ガス、石油)を使用した火力発電の発電量は、2016年の時点で8,700億kWhと、1990年の5,700億kWhから約3,000億kWh増加しています。
またCO2排出量についても、1990年に3.5億トンだったのに対し、2016年で5.0億トンと、約1.4倍に増加しています。

これは、化石燃料による火力発電の比率を下げ、CO2排出量も減少しているEU諸国などと比べると真逆です。

(参考資料:資源エネルギー庁「平成29年度 エネルギー白書(pdf)」p24)

石炭火力の新増設計画事業者の多くがダイベストメント対象に

また日本では石炭火力発電を減らすどころか、新しく建造しようとする計画が進行しています。
この計画では、2018年6月時点で新たに33基の石炭火力発電所(1,680万kW分)を建築する予定です。

こうした動きに対し、「ノルウェー公的年金基金」や「英保険大手Aviva」などが、石炭火力発電所の新規増築を計画している企業をダイベストメントの対象(投資撤退)としています。

(参考資料:公益財団法人 自然エネルギー財団「石炭火力発電から撤退する世界の動きと日本」p09)

電源構成における石炭火力発電を2030年までに「26%」が目標

日本は現在、かなりの発電量を石炭火力発電に依存しており、2017年時点での石炭火力発電は日本全体の電源構成の35%を占めています。

日本が「パリ協定」の目標として掲げた2030年のエネルギーミックス(電源構成)のなかで、石炭火力発電は「26%」まで減少させることになっています。

  • 再生可能エネルギー:22%~24%程度
  • 原子力:20%~22%程度
  • 石炭:26%程度
  • LNG:27%程度
  • 石油:3%程度
  • 総発電電力量:10,650億kWh程度

(参考資料:環境省「日本の約束草案」p08を参考)

この目標に逆行するかのような石炭火力発電所の新規建造を考え直してもらうためにも、
ダイベストメント(投資撤退)などの活動によって方向転換をはからないと、上述のエネルギーミックスの目標達成は難しいでしょう。

(参考資料:環境省「日本の約束草案」p08)

企業が行える脱炭素化の取り組み

国の政策も重要ですが、各企業が脱炭素化の活動を行うことも、国全体のCO2排出量を削減する意味では重要です。

ここからは、世界のダイベストメントを巡る動きをふまえて、企業が行える脱炭素化の取り組みを紹介していきます。

自家消費型太陽光発電を設置

自家消費型太陽光発電は、火力発電と比較してCO2排出量を減らすことができます。
工場や会社建物の屋根に設置して、発電した電気を社内で使用することで、CO2の削減だけでなく電気代の削減にも繋がります。

自家消費型太陽光発電について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

自家消費型 太陽光発電とは? 費用やメリットを解説

自社ビルや建物のZEB化

続いて、自社ビルや建物のZEB化を紹介します。

ZEB(ゼブ)とは、上記で紹介した「太陽光発電(創エネ)」や、「電力消費が少ない高効率機器(省エネ)」を導入して、ビルや建物で消費するエネルギーと創り出すエネルギーの和をゼロにするにすることを目的とした建物です。

ZEB(ゼブ)について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

ZEB(ゼブ)とは?メリットや3つの基準について解説!

脱炭素経営への参画

脱炭素経営とは、パリ協定の2℃目標の達成や、「ESG投資」への対策として、近年企業に求められている経営手法のことを指します。

具体的には、

  • SBTイニシアチブへの加盟
  • RE100への加盟
  • SDGsの推進
  • エコアクション21の認可取得
  • ISO14001の認可取得
  • CSR活動への参加

などがあります。

脱炭素経営について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

「低炭素化」から「脱炭素化」へ!脱炭素経営の実現に必要なこと

まとめ

この記事では、「ダイベストメント(投資撤退)」の概要や世界の取り組み、日本の現状と課題などについて解説してきました。

株式、債券、投資信託などの金融資産を引き揚げることを指すダイベストメント。
最近では主に地球温暖化の原因とされるCO2を排出する「化石燃料産業」からのダイベストメントが世界的に加速しています。

日本は石炭火力発電の占める比率が増加傾向にあり、日本企業もダイベストメントの対象になっています。

ダイベストメントは規模が大きな話ですが、一般企業も決して無関係とは思わず、自家消費型太陽光発電の設置やZEB化を通じて、脱炭素経営に乗り出してみてはいかがでしょうか。